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と、なると……出来るだけ、景品台の奥に置かれてる物を狙う方が良いよね。
そうじゃないと今の高広みたいに、台の上で倒れて終わりという事になりかねないから。
「くっ!ルールなら仕方ねえ。次だ次!ぜってぇ倒してやる!」
「ま、頑張って台から落とす事だな。落としたら景品はくれてやるからよ」
倒れたって事は、小さな景品なら固定はされてないって事だよね。
高広は少し大きめの物を狙ったから、ただ倒れただけになってしまったんだ。
だから、私が狙うのは……酢昆布!
高広を見習って、台に手を突き、精一杯前のめりになって銃を近付けるけど……ダメだ、50cmは離れてるかな。
それでも普通に撃つよりマシだと、思い切って引き金を引いてみた。
ポンッ!と、コルクが飛ぶ音が聞こえ、酢昆布の箱をかすめて微かに動いただけ。
「あー……惜しいなあ。もうちょっとだったのに」
「ちょっと動いたよ、酢昆布。もしかしたら、取れるんじゃない?」
「う、うん。そうだね。頑張ろうね、理恵!」
一発撃って、キャッキャとはしゃいで、景品が取れても取れなくても楽しんでいる私達とは対照的に……高広と翔太は真剣勝負を繰り広げていた。
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