夏祭り

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そしていよいよ、残すは一発だけ。 高広と翔太は、じっくりと狙いを定めているからか、まだ三発ずつ残っているけど、まだ景品は0。 理恵も、今撃とうとしている弾が最後の一発。 それが、銃口から飛び出して……キャラメルの箱に当たり、少し奥に移動させただけで倒れもせずに、理恵のチャレンジは終了した。 「あーあ、ダメだったよ。難しいね、射的って」 「景品台の奥に落とさなきゃならないのがネックだよね。また絶妙な位置にあるから、倒れても落ちないしさ」 ……もしかして、だからお客さんがあまりいないのかな。 なんて考えてしまうよ。 「よし、理恵と明日香は敵じゃない。やはり一番の敵は高広だな。残りは三発……ここは小さな物を狙って確実に勝つ事を考えるか」 「ハッ!散々うんちく垂れて、逃げるのかよ!俺は携帯ゲーム機を狙うぜ!」 「バ、バカか!こういう屋台で最も狙ってはいけない景品だぞ!間違いなく台に固定されているし、仮に取れたとしても型遅れの旧型だ!取る価値なんてあるはずがない!」 翔太の解説に、おじさんの眉毛がピクピクと動いて、今にも怒りそうなのがわかる。 「んなもん勝負に関係あるかよ!落とせば勝ち、それだけだ!」 「くっ!だったら、どちらが先に落とせるかで勝負だ!高広!」 最初の勝負はどうなったのか。 二人だけの勝負の世界に入ってしまったようで、私ではもう引き戻せないと諦めた。
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