夏祭り

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そして、射的の勝負が終わった。 あんなバカな勝負をしなければ、何かしら景品をゲット出来ていたかもしれないのに、意地を張るから。 「く、くそっ!くそっ!あんな物を狙わなければ、一つくらいは取れていたんだ!まさかあんなにべったりと両面テープが付いているなんて!」 「予想外だったぜ。まさか、後ろに支えがあったなんてよ。両面テープとダブルでやられたら、ぜってぇ取れねぇじゃねぇかよ」 店から離れて、大きな木の下。 結局、お店のおじさんに良いように遊ばれた高広と翔太も景品は0。 熱くならなければ、一つくらいは何か取れていたかもしれないのにね。 「で?お前らも何も取れなかったんだろ?だったらこの勝負は引き分けだな」 「そ、そうだな。誰も何も取れなかったならドローだ」 ホッとした様子で私と理恵を見て、そう言った高広と翔太。 「ふふふー、残念でした。見てよこれ!じゃじゃーん!酢昆布!」 二人が熱くなって携帯ゲーム機に集中している間に、ラスト一発で取れたんだよね。 それを見せると、見てわかるくらい二人はガックリと肩を落として、景品を一つ取った私が勝ったんだと実感する事ができた。
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