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「ま、まあ……仕方ないな。負けたんだから明日香の言う事を一つ聞こうじゃないか」
「これってよ、全員が明日香の言う事を聞くってパターンか?」
「明日香の一人勝ちだもんね、そうなるんじゃないかな」
皆話をしているけど……うーん、私のいう事を何でも聞いてくれるのか。
いざ、こうなってみると、何を言って良いかわからないよね。
「よし、明日香。何でも言えよ、ほら」
すぐに言えと言わんばかりに、高広が私を急かすけど、何も思い付かないよ。
まさか私が勝つなんて思ってもみなかったんだから。
「え、えっと……とりあえず保留で良いかな?解散するまでに考えておくから。翔太も花火まではいるつもりなんでしょ?」
この夏祭りは、昼にお神輿やお囃子(ハヤシ)があって、夜には打ち上げ花火が上がるようだ。
ここまで来る間に貼ってあったポスターに、そう書いてあったから。
「え?いや、まあ……予定はないから良いけどさ。どうせ兄さんは帰ってこないだろうから」
「じゃあ、花火まで屋台を回ろうよ。まだ食べてない物もいっぱいあるし。フフッ」
理恵の狙いは、きっとここから近い場所にある、わたあめとチョコバナナだろうな。
だけど、何でもいう事を一つか。
まだ何も考え付かないけど、何を聞いてもらおうかなと、ちょっと楽しみだった。
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