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「フフッ、そうだね。昔みたいに金魚すくいとかヨーヨー釣りとか、あったらやってみようか」
今は私達も大きくなって、昔みたいにはしゃげないけど、大きくなったから出来る楽しみ方もあるはずだから。
「うし、そうと決まれば移動しようぜ。メシも食いてぇし、祭りだからな楽しまねぇと損だぜ」
そうやって高広に促されて、屋台が並ぶ方へと歩き出した私達。
色とりどりの提灯の、優しい光に照らされた空間。
牛肉の串焼きや、イカ焼きなんかの匂いが食欲をそそり、締め付けられているお腹がグーッと音を立てる。
食べ物を一つだけ買って、皆で分け合って少しずつ食べたり、味が違うのを交換したり。
普段は、授業くらいしか一緒にならないこの四人だけど、お祭りという特別な空間では、知っているというだけで仲良く出来る。
それが、ちょっと嬉しくもあった。
「あー、楽しいね。翔太はまだ食べられる?」
「あ、あと少しくらいなら……でも、一人前は無理だな、うん」
高広と違って、見るからに食が細そうだからね。
「さて、祭りといえばたこ焼きだよな。理恵はクレープ食ってっから、三人で分けて食うぞ」
私は元々少しずつしか食べてないから行けるけど、翔太は自分でも言っていた通り、限界が近そうだ。
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