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「お嬢ちゃん、勘違いするのは勝手だがな、俺は確かにこのタコを使っているんだ。小さく切っていても、文句を言われる筋合いはないぜ」
なるほど、確かに店の人の言う通りではあるよね。
でも、この大ぶりのタコを目当てで買いに来た人は、騙された気分でたまったもんじゃないだろうな。
「な、なるほどな……このタコが入ってるんだから嘘じゃねぇ。考えたな、おっさん」
「フッ、こっちの兄さんは物分りが良いじゃねえか。で?お嬢ちゃんはどうするんだ?買うのか、買わないのか」
……えっ!?
ちょっとちょっと!
まだ買ってもいないのに店先で文句を言ってたの!?
それはさすがにまずいんじゃないの?
「くーっ!なんか騙されたみたいで腹立つわぁ!」
わかりやすく腹を立てている隣で、高広が呆れた様子でおじさんに声を掛けた。
「じゃあ、俺がもらうわ。一つくれよ」
「へへっ、まいど」
ムスッとする留美子を宥めて、たこ焼きを買った高広が戻って来た。
まだ納得していないのか、不機嫌そうな留美子も一緒に。
「こ、こんばんは……留美子」
「ん」
どうしよう、なんて声を掛けて良いかがわからない。
理恵は留美子が苦手そうだし、翔太はまだ食べられると言ったものの苦しそう。
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