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「お前、いつまでも怒ってんじゃねぇよ。祭りの屋台なんて、騙し騙されだろ?」
困っていた私達を助けてくれるように、たこ焼きが入った袋を留美子の頭の上に置いた高広。
「あっつ!熱いっての!このバカ!頭の上にできたてのたこ焼きなんて置くなっての!」
「は、はは……ところで柊さんは一人?」
高広に怒る留美子に、理恵が恐る恐る尋ねた。
苦手だってわかってるから、理恵が訊くとは思わなかったけど、偶然会ったから勇気を出したのかな。
「さっきまで友達といたんだけどさ。中学校の同級生に会って一緒にって言われたんだけど、どうも私とは合わなさそうだったから抜けて来たんだよね」
あー、だから機嫌が悪くて店の人に文句を言ってたのかな?
買ってもいないのに。
「なんか、留美子らしいね。物事の好き嫌いがハッキリしてるって言うか……」
「合わない人達と一緒にいても仕方ないっしょ。それより……理恵、あんたさっき柊さんって言ったよね?皆から留美子って呼ばれてるから、苗字だとピンと来ないんだよね。だから、留美子って呼んでよ。じゃないと私も『鳴戸さん』って呼んじゃうからね」
理恵に歩み寄って、鼻をツンとつついて見せた留美子。
感情の起伏が激しいけど、こういうところは私は嫌いじゃないかな。
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