夏祭り

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最初は私と理恵の二人だけだったのに、気付けば五人になっている。 普段はあまり話さない翔太や留美子とも、こうやって話が出来ているのは楽しくて、夏祭りに来て本当に良かったと思う。 「てか、明日香も理恵も浴衣でさ、私だけ普段着ってなんか悔しいよね。こうなるってわかってたら、私も浴衣を着て来たのにさ」 人混みの中を歩きながら、留美子が私と理恵を見ながら溜め息を吐く。 「留美子は別の友達と来てたんでしょ?だったら仕方ないよね。私と明日香も、今日連絡を取ってお祭りに行こうって決めたんだから」 「あーあ、失敗したなあ。私も浴衣を着てたら、浴衣美人が三人。すぐにナンパされちゃうよ?」 後ろ髪を掻き上げて、笑ってみせる留美子。 確かに留美子は美人だから、浴衣が似合うかもしれないけどね。 「……お前がいなくても、明日香と理恵はナンパされてたぞ。残念だったな」 「ざ、残念って何よ!私はおまけだっての!?」 高広も、留美子には結構容赦ないよね。 お互いに遠慮のない関係を築けてるみたいで、たまに羨ましくもあるかな。 「お、金魚すくいがあるな。どうする?やってくか?」 「無視すんな!高広!」 留美子が一緒になって、突然騒がしくなったけど、その分おかしくて笑える事も増えた。
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