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クラスではあまり目立つ事のない大人しい存在で、休み時間になると友達とゲームの話をしてたり、ゲームをしていたり……。
どうしよう、ゲームの印象しかない。
そんな健司だから、金魚すくいが得意でもそれほど私は驚かないけど、高広達は違うみたいだ。
「す、すげえ……どうなってやがんだ、あの手首の動きはよ。あんな機械的に動くもんなのか?」
「水の抵抗を最小限に抑え、かつ金魚の動きを先読みしてポイを動かしている……気付いた時には、金魚はお椀の中ってわけか」
男子って、こんな事でも素直に感動出来るんだね。
そりゃあ、私だって健司は凄いって思うけどさ、そこまで分析して感動はしないかな。
「はっ!高広!ポイが裏表逆だ!それじゃあ水の抵抗を大きく受けてしまうぞ!」
「あぁ!?これに裏表なんてあるのかよ!」
健司と違って、こっちはパニックになってる。
別に勝負をしているわけじゃないのに、なんで対抗意識を燃やしてるんだろう。
「そこからわかっていなかったなんてな。金魚すくいをなめてもらっちゃ困る!」
学校では、ゲームの話をしない時は無口なのに、自分の得意な事では饒舌になるのかな。
自信に満ち溢れた健司のポイの上には、出目金が乗っていた。
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