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「明日香ぁ、何してるの?早く行くよ!」
「あ、うん。今行く!ほら、高広も行こう」
私から顔を背けたままで、こっちを見てくれない高広の肩を叩き、理恵達の方に歩き出した。
落ち込んでるって言っても、金魚すくいであまり取れなかっただけなんだから、気にする事ないのに。
まあ、大丈夫って言ったから、高広はきっと大丈夫だ。
「全く……今の、誰にも言うんじゃねぇぞ。あんなの情けないからな」
「わかってるよ。高広が金魚すくいで負けて落ち込んでたなんて誰にも言わないって」
こんな高広を見るのは久しぶりで、ちょっと意地悪したくなったけど、変な人達から守ってくれたから黙っておくよ。
「いや、そっちじゃねぇよ……」
フフッと笑ったのと同じタイミングで、囁くように何かを言った高広。
何を言ったか聞き取れなくて、聞き返そうかと思ったけど、すました顔で前を見てるし、大した事を言ったわけじゃないのかな。
「さてさて、じゃあ次は何する?くじ引きとか、スマートボールもあるけど」
「そうだな。ゲームはまた熱くなりそうな気がするんだよ。かと言って、食べ物はなあ……俺はもう入らないぞ」
人混みを避けながら、色んな屋台を見て歩いて、皆楽しそうに笑っている。
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