夏祭り

43/45
前へ
/141ページ
次へ
「な、何言ってるんだ。所詮機械での占いだろ?そんなのあてにならないね」 占ってもらう前は、あんなにソワソワしていたのに。 終わった途端これなんだから。 高広と健司の結果も見て、留美子がお腹を抱えて笑う。 人の結果を見て大笑いなんて、他の人がやったら失礼に思えるけど、留美子だとそれが普通に感じるから不思議。 「ねえ、明日香。もう考えた?射的の勝負のやつ」 そんな中で、理恵が私に声を掛けてきた。 ああ、負けた人が、勝った人のいう事を聞くってやつね。 花火までに考えるって言ったけど……どうしよう、皆といるのが楽しくて、まだ何も考えてないよ。 「え、えっとねぇ。何も考えてない……かな?」 「そうなの?もうすぐ花火が始まっちゃうよ?」 そんな事言われても、何を言えば良いのかわかんないよ。 留美子と健司は勝負に関係ないし、高広と翔太と理恵だけに何を言おう? こんな事なら、射的が終わった後に何でも良いから言っておけば良かったよ。 「じゃ、じゃあ……」 特に何も思い付かなかったけど、何か言おうと口を開いたその時だった。 辺りが赤く光り、身体をビリビリと震わせる音が聞こえたのは。
/141ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1518人が本棚に入れています
本棚に追加