夏祭り

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夜空に大きな光の花が開き、煌めきながら散って行く。 大輪の花が咲き誇り、その合図と言わんばかりに鼓膜を震わす、心地の良い音。 「始まった……」 ボソッと呟いた健司の声が、花火と花火の間に聞こえて、私達は皆、同じ方向を見上げている。 同じクラスでも、仲の良い友達はそれぞれ違って、趣味も性格も違うから、こうして一緒に遊ぶ事なんてない。 偶然とは言え、こうして出会って、同じ花火を同じように見上げているのが嬉しく思える。 こんなふうに、皆仲良く同じ物を見ていられたら、きっと今まで以上の関係を築けるはずだよね。 「なんか、昔を思い出すね。花火もそうだけど、高広のお父さんに連れて行ってもらった、夜の海」 「うん。星が綺麗だったね。この花火に負けないくらい」 小学生の頃に見た、満天の星空。 あれを見た私と理恵と高広は、今もこうして仲良くいられている。 だから今日、この花火を見た皆とも、ずっと仲良しでいたいな。 「あーあ、来年は絶対に彼氏を作らなきゃね。でもま、今日はあんた達がいてくれて助かったよ。じゃなきゃ、一人で花火を見てたかもしれないし」 「お前と付き合えるやつなんているか?そんな物好きがいたら、顔を見てみたいぜ」 「ちょ!高広!あんた今なんつった!?」
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