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高校二年の夏。
うちの学校には、旧校舎の隣にプールがあって、夏になるとそこで水泳の授業がある。
俺は普通科だから、男子と女子でプールを半分ずつ使っているけど、男子だけのクラスのやつらからすれば、それが羨ましくてたまらないらしい。
何が羨ましいんだか。
多分、女子の水着姿を間近で見られるとでも思ってるんだろうけど、男子はただひたすら泳がされるだけで、女子を見ている暇なんてありゃしないのに。
だから俺は、水泳をサボって教室で寝ていた。
授業が始まるチャイムが鳴り、誰もいなくなった教室。
静かに眠れると思っていたのに、俺を呼ぶ声が聞こえる。
「高広。おい!高広!お前、また水泳をサボるのか!?」
「……んだよ、うっせーな。翔太じゃねえか。どうしたんだよ」
こいつは、俺が授業をサボってると、いつも文句を言いに来るんだ。
真面目なんだか、世話焼きなんだかよくわからねえけど、俺にとっては邪魔なやつだ。
「どうしたじゃないだろ!皆、水泳に行ってるんだ!どうしてお前は授業をサボってこんなところで寝ているんだ!?」
眉間にしわを寄せて、怒ってるのがわかる。
だけどよ、何で俺が怒られてるのかが全然わからねえ。
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