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そこには、携帯電話や双眼鏡を構えた生徒が軽く10人はいた。
「いっぱいいるーーっ!何が変態が一人だ!1ダースいるぞ!」
「お、俺が知るかよ!」
ビ、ビビったぜ……まさかこんなにいやがるとはよ。
うちの高校は、どれだけ闇を抱えているんだ。
「むっ!キミ達、静かにしたまえ。今は授業中、そして我々は隠密行動中だ」
屋上の端に寝そべっている変態の中の一人が、慌てた様子で起き上がり、俺達に駆け寄って来た。
何が隠密行動中だよ……女子のプールを覗いたり盗撮しているだけじゃねえか。
「い、いやあの……ここで何をしているんですか?」
ナイスだ翔太。
どう見ても盗撮だけど、相手からそれを聞き出すのは良い手だぜ。
まあ、こういう連中は上手く誤魔化すだろうけどな。
「え?何って……盗撮だけど」
「言うのかよ!少しは誤魔化そうとか思わねえのか!」
思わず突っ込んじまったじゃねえかよ!
それにしてもなんだ。
素直に白状したのに、こんなに清々しくない集団を初めて見たぜ。
「キミ達は二年か。だったら知らないのも無理はない。我々は三年の有志を中心に結成された『あなたに刺激を!逢魔高校を面白くし隊!』略して『ASOKO』だ。以後よろしく」
おいおい、随分情ねぇ略称だな。
微笑みながらメガネを指で押し上げて、手を差し出す男。
あ、握手でもしようってのか?
こんなに拒絶したい握手は、生まれて初めてだぜ。
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