第1章

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この世とのお別れに 最後に気持ちを伝えたくて 僕は神様にお願いして二人が出会った場所へとやって来た 時間は限られている。 甘い香りの漂う先には 可愛い彼女と真っ赤なワイン モジモジしながら 栗色の髪をクルクル人差し指で纏めては放す仕草が 物言いたげで 大きな瞳が上目遣いに僕を見つめる ぷっくりと艶のある小さな唇 黙ってじっと話を聞いてくれている まるで子鹿のような君は僕の心を放さない 今こそ伝えようこの想い… 緊張する、なんでもいいから何か飲みたい 「マスター、一杯くれないか」 彼女を見つめたままゴクゴク飲み干すと 爽やかに喉を潤わせ ほんの少しだけ緊張もほぐしてくれた 「あれ…塩?」 コクリと頷き寂しそうにうつむくマスター "誰か助けて~" そして僕は成仏した。 image=500007724.jpg
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