第1章

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市役所の門を預かっているカードキーで開け、車を駐車場の所定の位置に停車させる。 警備員控え室に向かいドアを開け、先に出勤していた上司に挨拶。 「おはようございます! 今日も1日宜しくお願いします」 「おはようございます」 挨拶が済んで直ぐに、私の後ろのドアがノックされ、返事を返す前にドアが開けられる。 ドアを開け部屋に入って来たのは、今日の窓口業務を行う、市の職員さんだった。 「おはようございます。 業務連絡です。 今日市役所内にいるのは、当番を受け持つ私と同僚以外に、あなた方と、休日夜間診療所当番の、先生と看護士さんに薬剤師さんの3人、それに屋上のソーラーパネルの点検に来ている、電気屋さんの3人です。 来所者や診療所に来る方達には、診療所前の駐車場を使用して頂くので、メイン駐車場の門は閉めといてください」 「分かりました! 」 私と上司は返事と共に敬礼を返す。 職員さんが出て行ったあと、私達も業務を開始する。 上司は、休日来所者窓口と休日夜間診療所の出入り口がある棟に入って行き、私は市役所を取り囲む鉄格子状の塀の内側を、異常の有無を確かめながら歩む。 何時もなら20人近くの警備員が交代で勤務している、しかし今日はお盆初日で、市役所も休みに入っており、市役所内は静まり返っている。 私の普段の業務は駐車場で車の誘導、前の会社をリストラされ、60間近のオッサンが得ることが出来た仕事が、警備員の職だった。 そんな私にとって、8階建ての市役所内の点検を徒歩で行うのは、体力的にかなり苦しいものがある。
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