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言い合いをしながら歩いていたら、あっと言う間に駅についてしまった。
あっと言う間だと思ってしまった自分に、ちょっと悔しさを覚える。
「ねえ、さすがに駅まででいいよ」
あたしが手をほどくと予想をしていなかったのか、今度はあっさり離れた。
駅は学校と家の中央ぐらいに位置するため、まだあと半分は歩かなければいけない。
だから、もし大志が電車で他の駅から来ているとしたら、家まで来てまた駅に戻るのは多分面倒だ。
……というかそう言うに決まってる。
「お前の家まで行く」
そういって大志は、まだぬくもりが残る手をまた有無を言わせず握った。
「ちょ、ちょっと!電車通学じゃ……」
「違うから心配すんな」
予想外の答えに、驚いてただ黙って手を引かれるあたし。
「おい、こっから分かんねーから案内しろよ」
「あ、うん……」
まあいいか、と思いつつ、あたしは大志の横に並んだ。
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