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「まじわかんねー……」
「とにかく!来ないでいいから!」
そういって呟く大志の背中を押しつつ、マンションのエントランスから追い出した。
「一応……送ってくれてありがと」
「おう」
「じゃあね!」
来ないことを願いながら、あたしはエントランスへと戻ったのだった。
***
それにしても、今日は変な日だった――。
「こんな字、書くんだ……」
ベッドに寝転がりながら、携帯の青海大志の文字を眺める。
初めての図書委員のお仕事で、ヤツに掴まって、人違いで――キス、された。
……思い返せばあたし、ファーストキスをあんなヤツに奪われたなんて……、もっと怒ってもよかったかもしれない。
というか、一発くらい頬にお見舞いしてやってもよかったのに。
「一週間、これか……」
ため息をつきながら、あたしは携帯をベッドに放り投げた。
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