レンタル王子

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「いってきまーす!」 「いってらっしゃーい。気を付けてね~」  お母さんの声を背に、今日も勢いよく家を飛び出した。  エレベーターに乗りこむ。すると、同じ制服を着た人が、4階から乗り込んで来た。 「こんにちは」 「こんにちはー!」  にこっと挨拶をしてくれたその男の人は、学年章の色を見ると一つ上の三年生の先輩だということが分かる。 「このマンションには同じ学校に行ってる人がいないと思ってたんだけど……もしかして、最近6階に引っ越してきたっていう……?」 「あ、そうです!星名ひよりです。よろしくお願いします!」 「やっぱり」  そういうと、太陽のような笑顔でにっこりと微笑みを返してくれる彼。 「俺、勇陽斗(いさむ はると)。よろしくね、ひよりちゃん」 「勇先輩っていうんですね、変わった苗字!」 「うん、よく強そう~とか言われる」  優しそうな物腰の柔らかい勇先輩ともうすこし話していたかったけれど、エレベーターが一階にすぐ到着してしまった。
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