レンタル王子

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「じゃあ、俺自転車だから」 「あ、はーい!」 「またね」  直通する自転車置き場のドアを開ける先輩を見送って、あたしは外へと出た。 「げっ!!」 「おい、なんだよその一言目は」  ……なぜ、いる。  和んでいた気持ちが、一気に突き落とされた気分になる。 「つーか遅せえんだよ。8時って言ったろ」 「まだ5分しかすぎてないじゃない」 「過ぎてんだろ、5分も」  というかあたしは、大志が本当に来るとは思ってなかったんです。 「まあいい。行くぞ」  そういうと大志は、さも当然のようにあたしの手を取った。 「う……朝は、手をつなぐのやめてくれない?」 「なんでだよ?」 「人が多いし、注目されそうで嫌」 「いいじゃん」 「絶対いや」  無理やり手を離すと、大志は大きくため息をついた。
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