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「――…隊長、大丈夫ですか?」
「あぁ、悪い。」
目の前にひらひらと振られた手に、ぼんやりしていた意識を引き戻す。
「隊首会終わりましたよ、隊舎戻ります?」
「そうだな、先…帰っていい。少し用がある」
そんな言葉に大しても違和感を覚えず、松本は軽く頷いて足早にその場を去った。
それを見届けて、自分も瀞霊廷の外に足を向けた。
誰の気配も無い場所まで来て、小さな溜め息を溢す。
そのまま座り込んで、瀞霊廷を取り囲む壁に背を預けてゆっくりと目を閉じた
乾いた口元に僅かな笑み。
目蓋の裏の闇に、堕ちることを喜ぶ様に
「…こんな所で何してはるんですか、十番隊長サン」
「――市、丸」
突然の声に、混濁してきていた意識が覚める。
目を開けて顔を上げれば、自分を覗き込むあの崩れない笑顔。
「珍しいなぁ、あの真面目な十番隊長サンがこないな場所でサボってはるなんて」
「…何でお前が此処に来るんだよ」
この場所は、三番隊舎からはほぼ真逆の位置
市丸が来るのは若干おかしい条件下の場所。
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