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「ねえ、寒いんだけど」
「……ああ」
俺も寒いのだから、彼女が寒くないわけがない。5月とはいえフランスでは緯度があるため寒暖差が激しいのだ。俺達は隠れながらエロ本を読む小学生のように人の視線に怯えながら身を震わした。
「ねえ、もう限界……」
「もうちょっと待ってくれ。もう完成する。こんな機会二度とないんだから頼む」
「じゃあ、今すぐ暖めてよ」
「お前、正気か? こんな所で行為を見られたら捕まるだけじゃすまんかもしれないぞ」
「女の裸にデッサンしている時点で充分捕まるわよ」
「わかった、もう少しだけ待ってくれ。すぐ暖めてやるから」
俺はそういって無我夢中で彼女の裸体に筆を這わせた。余裕がないため、感覚だけで動かす。自分のタッチに多少雑なイメージを覚えるが、やっぱり彼女は美しく、それすらも凌駕している。
「亮、もう限界」
「もうできる、もうすぐ!」
「限界、私は部屋に帰るからね」
彼女は俺の体を蹴って、裸のまま部屋に戻ろうとしている。
「葵ッ。待ってくれ。わかった、俺が悪かった」彼女の近くに歩みよる。「葵、セックスしよう」
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