第一章 花咲スバル

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 ――終礼のチャイムが鳴るやいなや俺は俺に残されたもう一つの懸案事項を抱えて放課後の体育館へと向かった。   不良全員を集める為、一番俺の事を慕い兄貴と呼ぶ後輩の青葉(あおば)に声を掛けていた。 あの時の青葉の驚愕と恐怖が入り混じった表情は妙な解釈をしたと分からせてくれるには十分だった。  余程の事が無い限り今まで自分から不良に話しかけたりしたことはない。そんな俺が真剣な面持ちで頼んだものだからそれはもう大事だと思ったのだろう。   ただ緊張しただけなんだが……不良こえーし。   知らず知らずのうちに校内の全不良達のボス的立ち位置になった俺の異例の収集。   いや、気づいていたが認めたくなかったのだ。   案の定、体育館の正面玄関には門番の様に長ランと短ランを着た二人の不良が居た。 結界でもはられてんじゃねーの? と思うくらいに一般生徒の姿は無かった。   心なしかさっきまで晴れていた空は淀んで見えた。   嵐の前のうっとおしさ。   すると俺に気づいた長ランが近づいてきて渋めの声で、膝に手をついてお辞儀をしてきた。   「お持ちしておりました」   待たなくていいよ。ってか誰。   人力によってぎぃっと自動に開かれる扉。 いや、あのマジ帰りたいんすけど……。帰ってプレミア限定版抱き枕『マグロちゃん』に飛びつきたいんすけど。 体育館の中の光景が視界に飛び込んでくるより早く、   「「「ちゃーーーーす!」」」   ざっと四、五十人だろうか、校内の不良という不良が一堂に会していた。 ……てか、この学校不良多くね?
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