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この地域事態不良の数が比較的多い事は知っていたが、この学校はその中でもかなり多い方だ。
普通のオタクがこの場に飛び込めば卒倒すること間違いなしのこの空間。ライオンの群れの中に、そうだな、エガちゃんが突っ込んでいく様な感じ。
俺の目の前には自然と道が開き、ステージまで続いていた。
ざっ! ざっ! と小気味いい音と共に膝に手をつき頭を下げる。
こいつらヤクザ映画の見過ぎだろ。
大体何で俺はこんなに不良に好かれるのだろうか。中学でも、高校でも。
ものほんの不良達のど真ん中を威勢よく歩く正体オタクの少年、なんて事をこいつらは夢にも思ってないだろう。
ステージに近づいていく度に何故か増していく緊張感。
そしてステージに上がり集まった不良全員を視野に入れた。
顔色一つ変えない外面(そとづら)とは裏腹に心臓は破裂しそうな位にばくばくだった。
俺が不良と呼ばれ、演じ出したのが小学六年の頃、それほど演じてきた不良も根本的におおらかな性格の俺をこうゆう場面で苦しめる。
心の中ですぅーっと大きく深呼吸してから大声で呼びかけた。
「てめーら! 俺はつい先日この学校の裏のボス、春野椿にタイマンを挑み……そして、敗れた」
大きくざわつく体育館。
「だが悔いはねー! 椿とは杯を交わし五分の兄弟となった! ――そしてその兄弟と俺からの申し出だ。金輪際、この学校で問題、並びに校則である服装頭髪検査に引っかかったものは…………ブチ殺す! 以上!」
しばしの沈黙の後、
「「「えぇェェェェェェーーーーーーーーーーーーーっっ!」」」
そりゃそうなるよ。
だがこれは俺が考えた最善の策。
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