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0 花咲スバルと花咲スバル
――放課後、チャイムの音と同時にせわしなく部活へ向かう生徒や帰宅する生徒達で廊下は賑わっていた。
がやがやと耳に付く遊びの相談やカップルどもの会話、スポーツなるものに汗を流す青春少年少女達。
こいつらに共通して言えることはみんな「仲間」がいるということ。
つまりは「友達」だ。
なのに、なぜ……俺の周りには誰も居ない?
いじめられてるだとか、根暗だとか、友達がほしくないわけとかじゃなく……、
俺は学校で友達がいない。
何故か……?
「なぁ、なんで俺って友達いないんだ?」
「えッ!? ぼ、ぼくっ!? ……は、花咲くんが、ふ、不良、だから……?」
そうだ。だが、違う。
今の通りすがりの名前も知らないあいつも、先生も、みんな口を揃えてこう言いやがる。
「花咲くんは不良だ」
うるせーよ。俺は俺で生きてるだけだ。
だが、そんな俺理論が通じる程世界は甘く出来てない。
周囲の目ってのはかなり厄介で、その人間が本当はどんな人間かにも関わらず
真実を捻じ曲げイメージ通りの人物になっちまう。
そうなるとそいつ(・・・)はそうでならなければならない事を強いられる事になる。
つまりだ!
不良の花咲スバルは少なくともこの高校生活ではそうでなければならない。
……だから
……だからこそ、
――僕(・)が超ド級のアニオタだなんて絶対にばれてはならな!!
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