第一章 花咲スバル

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  学校に着くとなにやら生活指導の岡本(おかもと)と体育教師の林(はやし)の強面ごりごりの二人組+生徒会の腕章を付けた生徒四五人が服装頭髪検査を行っていた。   こんな朝からご苦労なことで。 「おい倉敷。なんだその髪の色は? きっちり染めなおしてこんかい!」 「こらぁ佐山! お前もじゃ!」   怒られていたのは俺(・)の少し前を歩いていたいわゆる不良と呼ばれる奴ら。 金髪にピアス、派手な柄物のインナーをちらつかせて肩で風をきる。まさに不良だ。   しかしいくら不良とはいえあの教師二人相手では分が悪いというか、なんというか、ドンマイとしか言いようがない。   しかし、あまりの教師二人の感情こもった怒号っぷりに普段は煙たがれている 不良達にも同情の視線が集まっていた。 二人も最初は屁理屈で反論していたようだったが今では肩を少しぷるぷると震わせて半泣きになっていた。 気持ちは分かる。 かっこいいと思って朝からセットしてきたその恰好もみんなの前でここまで言われてはいくら校則を破っているとはいえ歯痒かろう。 無論、素の方の俺ならばこんな場面ガン無視決め込むところだが、こっちの俺ではそうはいかない。 ――仕方ない。 「先生。その辺で勘弁してやってくれませんか?」   波風立てないのが俺の心情だ。だがこっち(不良)の俺はこうであると思われてる。 「「は、花咲っ……!」」   あからさまに俺の顔を見て怯む教師二人。 生徒達からビビられてる自覚はあったが、教師達にまでビビられる理由は知らない。 しかも生徒達にビビられてるこの二人にだ。だが、これは好都合。  
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