Ep.1 赤ずきん

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しばらく歩き、やっとおばあさんの家に着きました。 「おばあさん?赤ずきんです。入っていい?」 外から声をかけても返事がありません。 「おばあさん?いないの?」 何度声をかけても返事はなし。 「………」 赤ずきんは、防犯スプレーを片手にドアノブに手をかけました。 もしかしたらおおかみがいるかも… しっかり者の赤ずきんはそう考えたのです。 「おばあさん!?」 勢いよくドアを開けると、家には誰もいません。 「荒らされた形跡もないわ…。おばあさんはどこに行ったのかしら…」 そのとき、寝室のほうから咳が聞こえてきました。 「おばあさん?」 寝室のほうに向かうと、ベッドに寝ている姿が見えました。 「おお、赤ずきんや。わざわざ悪かったねぇ」 「まぁ、おばあさん具合が悪いの?ひどい声だわ」 おばあさんは布団を頭まで被り、ひどくしゃがれた声でした。 「風邪をひいちまってねぇ…」 にやける口元を布団で隠してこたえました。 ベッドで寝ていたのはおおかみだったのです。
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