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しばらく歩き、やっとおばあさんの家に着きました。
「おばあさん?赤ずきんです。入っていい?」
外から声をかけても返事がありません。
「おばあさん?いないの?」
何度声をかけても返事はなし。
「………」
赤ずきんは、防犯スプレーを片手にドアノブに手をかけました。
もしかしたらおおかみがいるかも…
しっかり者の赤ずきんはそう考えたのです。
「おばあさん!?」
勢いよくドアを開けると、家には誰もいません。
「荒らされた形跡もないわ…。おばあさんはどこに行ったのかしら…」
そのとき、寝室のほうから咳が聞こえてきました。
「おばあさん?」
寝室のほうに向かうと、ベッドに寝ている姿が見えました。
「おお、赤ずきんや。わざわざ悪かったねぇ」
「まぁ、おばあさん具合が悪いの?ひどい声だわ」
おばあさんは布団を頭まで被り、ひどくしゃがれた声でした。
「風邪をひいちまってねぇ…」
にやける口元を布団で隠してこたえました。
ベッドで寝ていたのはおおかみだったのです。
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