546人が本棚に入れています
本棚に追加
/869ページ
「──ここはこうであるから、この式になり……」
静かな教室の中。
チョークで黒板に文字を書く音と、数学教師の声しか聞こえてこない。
私は黒板を見ることもなく、窓から外を眺めていた。
開けられた窓からは、そよそよと風が入ってくる。
グラウンドでは何処かのクラスが、体育の授業をしていた。
──毎日毎日。繰り返し。
学校に来て授業を受けて、家に帰って、寝て。起きてまた学校にやって来る──。
何の代わり映えもしない毎日。
嫌気はしているけど、それを変えようとは思わなかった。
─ううん。
思っていても、それをどう変えるか分からないだけ。
くだらないと思いながら、繰り返しているだけだ。
私は目を閉じ、顔を撫でる風を感じる。
肩の上の髪の毛が、ふわりと揺れた。
最初のコメントを投稿しよう!