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「危険や大変になることは、最初から想定内だ。ファルガーやアヤメはもちろん、皆にも苦労を掛けるが、準備が整い次第決行する」
ピリッとした緊迫感が、会議室に流れる。
「いつも力を貸してもらっているが、今回も俺のワガママを聞いて欲しい」
深々と下げられるマルコの頭。ヤンジが慌てて、頭を上げて下さいと言った。
「マルコさんの為なら、俺は喜んで力を貸しますよ。それにホームが機能していないんですから、仕方ありません」
「俺の方ももう少し減らせる物があるかどうか、見直してみるよ」
「ヤンジ……。ウーブァン……」
「誰もあなたのワガママだと思っていません。常に最善を尽くしてくれるあなたの言うことだからこそ、皆が付いてくるのです」
「レオ……」
僅かに嬉しそうに、マルコが微笑む。
「もちろん、俺達も喜んで協力させて頂きます」
力強く言ったファルガーの隣、ガラハドは何も言わず頭を下げる。
その彼の背中の服が、ぎゅっと掴まれた。
「……うちは、協力したくない」
消え入る──いや、声にならぬ程の小さな呟き。
ファルガーは聞こえていなかった。でも、ガラハドには聞こえていた。
そっと。ファルガーに見えないように、ガラハドの左手が後ろに回される。分かっているとでも言うように、小さな手を握った。
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