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そもそもあのナソーさんはまだ、会敵同盟の正式な人員ではないし僕が手助けする義理はない。薄情だと思われようが仕方ないだろう? だいたいどう接しろというのか。素人が安易にかかわってよい状態じゃなかろう。
よし、とりあえず篝にまる投げでいこう。すべてはアシナガが悪い。
ひとりうなずきかけたところに聞こえる声があった。
「ごめん、ちょっといい?」
突っ伏していた机から顔をあげると、そこにはひとりの女子生徒の姿がある。
教室にいるのは数人ごとにわかれた女子のグループが三つと、小説をひらく男子生徒が一名だった。男子生徒は著名な作家の文学作品を読んでいる。
ふたりの女子生徒がこちらをうかがっていて、眼前の生徒はその女子たちがよこしたと推測する。
学級委員長でもないのに学級委員長みたいに振る舞っているのが印象的な女子生徒は何かと目立っていて、今学年で一緒になったばかりのはずの僕の記憶にも残っていた。
目の前で女子生徒は人当たりのよい笑顔を標準装備したまま声をはずませる。
「似内クンだったよね? ウチは蛇渕樒(じゃぶちしきみ)っていうんだけど、似内クンって放課後ヒマ? 帰りにみんなで何か食べようかと思うんだけど、いっしょにどう?」
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