第一章

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 正直なところ、僕も似たようなものだった。  かくして放課後は訪れる。  女子三名、男子二名の編成で僕たちはファストフード店に行った。駅前という好立地に時間帯もあいまって大層な混雑ぶりだったけどなんとか席についてハンバーガーにありつく。  蛇渕さん以外の女子二名はひとつのセットメニューを分担して処理している。蛇渕さんはチーズバーガーセットで、僕の隣ではバニラシェイクをすする文学くんがいた。  僕は単品のハンバーガーのみである。ふと、隣の文学くんがシェイクと一緒に頼んでいたポテトのLをこちらに向けた。 「食べる?」 「あ、ありがとう」  文学くんはいいやつだった。……自分の判断基準の薄っぺらさを嘆く。  僕が一本いただいたのを見てから「みんなもどう?」とテーブルの中央に寄せる。僕がはじめに食べるのを見せておいて、みんなが手にしやすい雰囲気にしたのかこやつ……! つまり僕はこやつの好感度アップに利用された……!?  われながらひねくれがすぎる。というか浮かれすぎだった、落ち着けよ僕。 「わー、ありがとー」  しばらくは腹を満たすための沈黙が場を包む。やがて、女子の片割れが口をひらいた。
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