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「ええ!? それってかなり危険だよね!? みんなも気をつけよう!」
「アタシらは塾で遅くなっちゃうことがあるしねえ」「そうそう、忠告さんきゅーですよ」
「いやいや、きみたち塾じゃない日も帰るの遅いじゃん」
「それ言う!?」「痛いところを……!!」
「痛いと思うなら自重しなさい」
蛇渕さんはころころと笑いながらぺしと平手でつっこむ。
話題の不穏さとは裏腹に、その雰囲気には和やかささえ感じられて僕含め一同は笑顔になっていた。そうだ、これが自然な笑顔だと思う。
そも、『四之葉(よつのは)市は神さまに愛でられた土地である』らしい。
誰が言い出したかは知らないが、少なくともここに住む人間の何割かはそう信じて疑わない。
そのうわさに導かれるようにさまざまな種類の人間が集まって結果的に変わり者のメッカになってしまった。
以上がアシナガの受け売りである。神さまに愛されているかはともかく、最後のひと言に関しては大いに首肯できた。
変わり者の代表格みたいなのが目の前にいたからである。育児放棄された女と交通遺児を好きこのんで拾うような人間を変わっているといわずなんというのか。
自分もこの土地のうわさに惹かれてやってきたというし、自覚はしているんだろう。
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