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欲しいと思ったものはどんな手段を使っても手に入れなければ気がすまず、その手段によって自分がどんな損害を被ろうともいっさい意に介さない。
それが奥園薔薇子(おくぞのばらこ)という女だった。
だから、いまのこの状況もいずれ自らが望むものを手に入れるために必要な手順なのだと自身を納得させていた。社会勉強の一環だと両親に勧められアルバイトを始めてみたものの今後の役に立つとは思えなかった。
これなら本でも読んでいるほうがよっぽど有意義だ。
隣で軽薄な笑みを浮かべる男から自分が何か学ぶことがあるのかと奥園は疑問に思う。こちらに話しかけるときだけいやに饒舌に感情豊かで、肝心な客に対しては妙にそっけない。
いくら世間を知らずとも、奥園は男の態度の違いに不信感を覚えてやまない。自分に向けた愛想のよさは本来なら客に対して向けるべきものであると思う。
視線がときおり胸に向けられているのもわかる。人よりも発育していることは知っているがこれといって得した経験はない。
西洋風のドレスが似合うのには満足こそしているが、やはり和装も捨てがたいという念もある。ライトブラウンの髪ではやはり難しいかとも思う。
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