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3rd person
令嬢 白神セリナ。
彼女は英才教育を受け、友達もいない学校へ行くのは意味の無いことだと思っていただろう。
しかし、上には上がいる。
同じ金持ちの家に生まれながら、学校にも通えない男。
白神セリナと同じ、虚ろな目をして毎日を過ごすその男の名は、ロヘーラ・ジャック。
彼は幼い頃に左腕と両足を無くした。
電子工業において、世界でトップの企業を動かす父親は、世界の叡智を結集して作った義手と義足を彼に与えた。
機械的な音もならず、滑らかに動き、エネルギーも半永久的に尽きない、世界最新鋭の技術。
人工皮膚を上から被せると、今の様に外に平気に出歩いても誰にも驚かれない。
筋肉の形も再現されていて、毎日筋トレをかかさない彼の体にもぴったりと合う。
彼は暗いブロンドの髪をオールバックにして、サングラスをかけてドライブをしている。
「やっぱり日本は刺激がないな。」
そう独り言を呟いて車をどんどん追い抜く。
車の外は雨が降っていて、晴れた日の風を感じるドライブとは違った疾走感がある。
十字路に入る前、同じ進行方向の横断歩道は点滅していて、もうすぐ信号が赤になる。
それが分かった時、彼は決まってミニゲーム感覚でその十字路を一気に抜ける癖がある。
その時もそうだった。
しかし、いつもと違うのは横から車がスピンして出てきた事だった。
「Oh, shit!」
人よりも持てるもの全てが高い彼だ。
持ち前の動体視力と反射神経で上手く車を操作し、右側のレバーを引き車から飛び出す。
自分の身を投げ出して、受身の体勢を取った。
この生死を決める一瞬において、彼の中では完璧な判断だった。
だが、まだイレギュラーは続く。
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