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1st person
僕の視界に色が戻る。
「……さ………ばれ…………選ばれし勇者さまよ!!」
視界がハッキリするのと同時に音もしっかり聞こえてくる。
「おぉ!!成功したぞ!!勇者様がおいでになられた!!」
教会の様な天井。
僕の周りを見渡すと、僕は大きなテーブルの様な所の上にいることが分かった。
周りにはロウソクが立っていて、その内側に紋章のようなものが描いてある。
僕はその真ん中にいた。
「勇者様!!我々の国をお救い下さい!!」
「勇者様!!どうか魔王の魔の手からお救い下さい!!」
声がする方を見ると、何かの宗教だろうか、神官服の様なものを着た人達が8人。
冠を被り、それなりに歳をとった男女が玉座らしきところに座っている。
その横に今、椅子から立ち上がったかのような、僕と歳が近いぐらいだろう男女が1人ずつ。
「勇者って……まさか、僕のこと?」
「えぇ!!そうですとも!深い青を貴重としたそのお召し物!そして不思議な白色のフード付きコート!万物を見通す目!光の中から現れた、あなた様こそが我々の望んだ勇者様でございます!」
神官服を着た1人が言う。
「いや、これはブレザーとレインコートだよ。それに万物は見通してないかな。」
「これまた、ご謙遜を……」
「鎮まれ、大臣達よ。」
言葉をかき消すように、冠を被った老人が言う。
「勇者殿よ。召喚後そうそう無礼を働いてしまった。お詫び申し上げる。」
「いや、あの…さっきから勇者、勇者って………まさか、魔王を倒せとか……?」
「そのまさかです、勇者様。我々の国のみならず、この地域が魔王の軍勢の攻撃によって、危機を迎えております。あなた様は選ばれたのです。」
選ばれたって…僕は普通の高校生なのに。
「僕はなんの力も持たない普通の人間ですよ?選ばれたのも間違いなんじゃ…」
「いいえ!!間違いなんかではありませんわ!貴方こそ伝説に伝わる勇者様ですわ!!」
玉座?に座る二人の横…恐らく娘だろう、女の子が話し掛けてくる。
「丁度いい、勇者様はまだこの世界に召喚されて間もない。分からないことだらけだろうから、レオン、ソフィ、2人で色々と案内して差し上げなさい。」
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