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治ったはずの病気が再び母をおそっていた。再び手術することを聞いた母はこの数年間で私には見せたことのないような涙をみせた。その涙はまるで母だけが雨にでも降られたかのように母の着ていた服を濡らした。
誰も思ってもみない現実が母を苦しめた。家族を苦しめた。私を苦しめた。もう嫌だ。私は何度もそう心の中で叫んだ。しかし私以上に叫んでいたのは母自身だった。人が恐る事を一度でなく二度まで味わう辛さや悲しさ、自分自身で耐え抜かなければならない痛さや苦しさ。そんな感情の全てを母はたった一人で耐えなければならなかったのだ。
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