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こんな母の姿をみていて自分自身が情けなかった。自分の事でさえろくに出来ない私を、ある時は母を悲しませてしまった私を、憎まずにはいられなかった。だからせめてもの恩返しに母の前では泣かないと誓った。
その誓いを立ててから一年半後―
母は亡くなった。6回もの手術をし、それでもずっと強く強く、誰よりも強く生きた母は私達に別れを言わず強さという想いを残し去っていった。46歳という若さで早すぎた死を迎えた母に誰もが悲しみに胸を締め付けた。そして私は泣いた。まだ生きているような表情で眠っている母の前で声を殺して泣いた。あの日誓ったことを想いだしながら。
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