第0章-1話「大体こんな感じでやっていきます」

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【桜の花が咲きました】  部室に入ると、ホワイトボードにそう書いてあるのが目に入った。  部室の中央には学校の備品であるデスクが4つ四角形になるように配置されていて、その向こうにある窓を遮る形でホワイトボードが設置してある。  《窓 ホワイトボード デスク ドア》の順番だと言えば分かりやすいだろうか。  とにかく、ホワイトボードに書かれたその文字を目で追いながら、僕はいつもの自分の席――ホワイトボード右前の席に座った。そして、ホワイトボード左前――向かいの席でノートに何やら書き込んでいる語部創太に声をかける。 「やあ、語部」 「おう、元気にしてたか?」 「うん、いつも通りだったよ」 「そうか。ちなみに、俺は風邪をひいていたぞ」 「え、大丈夫だったの?」  語部は体調を崩しやすい。学校があるときはそうでもないのだが、長期の休みには必ずどこかで具合が悪くなる。本人がそう言っているのだから間違いはないだろう。 「ああ、いまはしっかり平常運転だ。お前も気をつけろよ」 「季節の変わり目は体調を崩しやすいってよく言うしね」 「うむ。あと1週間ほどで学校も始まるからな。ここで体調を崩すと洒落にならん」 「そっか。もうそんな時期かぁ」  今は3月がもうすぐ終わるところ。あと4日後にはこの学校の入学式が控えている。 「宿題は終わったか?」 「一昨日くらいに終わったよ」  春休みは、学校やクラスによって宿題が出るところとそうでないところがある。僕の去年のクラス担任は宿題を重要視する先生だったから、春休みの宿題もしっかりと出た。 「語部は、宿題なかったんだっけ?」 「ああ。新年度いきなりから仕事を増やしたくないそうだ」 「自分勝手だなぁ」  こんな風に、自分が楽したいからと宿題を課さない先生もいる。正直、先生がそんなことで良いのかと首を傾げてしまう。 「ところで、さっきから何を書いてるの?」  会話している最中も、語部は手を止めずにノートに何やらずっと書き込んでいる。 「もうすぐで入学式だが、それが過ぎたら1年生には何が待っていると思う?」 「え?」  突然の問いかけに首をひねる。つまり、今やっていることは1年生に関係あるということ。部活動と新1年生のどっちにも関係があること・・・ 「あ、そうか! 【部活動説明会】でしょ?」  僕の回答に、語部はニヤッとする。
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