仲間

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春休みが終わって新学期を迎え、僕は3年生になったが、野球部の練習は、日々同じ練習メニューを淡々とこなしていた。 そんなある日、ショートで4番打者の3年生の「涼太(りょうた)」が、足を抱えて倒れこんでしまった。 状況が分からず、あたふたしていると、監督が涼太を病院に連れて行くと言い出して、僕と玲奈が付き添って涼太を監督の車に乗せた。 監督の車が村の診療所に到着すると、さっそく涼太を診察してもらった。 レントゲンを撮って診察してもらったところ、医師の診断は、脛骨の疲労骨折という話しだった。 毎日の野球の練習で、正常な脛骨に通常は骨折を起こさない程度の負荷が繰り返し加わって骨折したという。 脛骨の疲労骨折は、短距離走、バスケットボール、バレーボールといった、走ったり跳ねたりする競技の選手に多いらしいけれど、最近の野球部の練習は基礎練習の時間が多かったので、ランニングの時間が多かったことが原因しているのかもしれない。 まずは、4週間から8週間ほどギブスで固定し、その後12週間から16週間ほど安静が必要だということだ。 さらに安静期間の後に徐々にリハビリを行う必要があり、このリハビリにも何ヶ月かの期間が必要だという話だった。 涼太の場合、骨折の具合と涼太は若くて回復が早いだろうという点を配慮して、全治6ヶ月程度だろうという診断だった。 このため、涼太の夏の全国高等学校野球選手権大会への出場は絶望的になった。 涼太は、だいぶ落ち込んでいて、僕は涼太に何て声をかけたらいいのか、わからなかった。 病院には、涼太の母親が駆けつけて、監督が事情を説明していた。 涼太は母親の車で帰宅し、僕と玲奈は、監督の車で高校に戻った。
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