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翌日、涼太は松葉杖を使いながら部室に現れた。
僕は、涼太は落ち込んでいるだろうと思っていたが、その日の涼太は笑顔で部員の皆と接していた。
僕が野球のユニフォームに着替えて、部活の練習の準備をしていると、涼太が声をかけてくれた。
「ひろ、大事な時期に怪我しちゃってごめん!
僕は、大会に出ることができないけれど、皆のために何か手伝えることがあったら何でもするよ!
だから、僕をこのまま野球部に置いてほしい!」
僕は、嬉しくて、
「もちろんだよ!
涼太が野球部からいなくなったら淋しいじゃん!
涼太に皆のバッティングみてもらえると嬉しいよ!」
というと、涼太が、
「了解っす!」
と笑顔で元気に答えてくれた。
練習に入ると涼太は誰よりも大きな声を出して、皆をリードしてくれた。
バッティングの練習になると、涼太は選手一人ひとりに丁寧にアドバイスしてくれていた。
そんな涼太が大会に出ることができないことを知った部員は、皆涼太のアドバイスを真剣に聞いて実践していた。
このため、部員のバッティングは、格段にレベルアップしていった。
試合に出ることができないにも関わらず、野球部のために努力してくれている涼太の姿を見て、僕は申し訳ない思いでいっぱいだった。
涼太の脛骨の疲労骨折は、僕が練習メニューを見直していれば防ぐことができたかもしれないと思うと、僕は涼太に対して後ろめたい思いがあった。
僕が、
「涼太、いつもありがとね!」
と言うと涼太は、
「ひろ、お礼なんて言わなくていいよ!
僕は、1人の野球部員として、皆と一緒に甲子園に行きたいだけだよ!」
と答えてくれた。
僕は、涼太の思いを知って、涼太とマネージャーの玲奈を一緒に甲子園に連れて行きたいと、強く思うようになった。
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