≪序章≫

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「ワシはまっつぐ(まっすぐ)が好きや!」  男は、まるで口癖のように笑顔でその言葉を繰り返して来た。  いつ、何どきも、そう口にしてはばからなかったそうだ。  背番号14を背負う、その男の名は沢村栄治──  今や、押しも押されぬ東京巨人軍のエースだ。  沢村が活躍し始めた頃、プロ野球は『職業野球』と呼ばれ、未だ野球の花形は学生野球、特に六大学野球にあった。  そんなプロ野球黎明期、沢村は燦然と輝きを放ち、一時代を築いた選手の一人である──
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