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当然、ここでも栄治の活躍は大いに期待された。
緒戦の木浦小を完封で撃破し、続く二回戦の和歌山高等小も栄治の速球が冴えに冴え、相手打線をノーヒットに抑えていた。
だが、明倫小は栄治の力投も虚しく二回戦で敗退してしまう。
敗因は、味方のエラーによるものだった。
栄治は空を仰ぎ見た。
初めて経験する全国大会は、彼にとって何とも呆気ない幕切れであった。
「栄ちゃん、スマン」
マウンドに立ち尽くす栄治の下にナインが集まる。
「しゃーない」
力なく笑い、栄治は再び空を見上げた。
青々とした爽快な空が、何処までも広がっていた──
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