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結局、こっちの願いは叶わない。
彼にだって悩みはあり、それが恐怖だと判る感情だってあるのだ。
「あぁ、そうだ。それで――」
「じゃあ、空手が黒帯なあなたに叶えてもらうのは――」
取引成立。これで今月の生活費が稼げる――そう安堵したのも束の間、出入り口兼非常口の窓ガラスを叩く音が聴こえた。この場にいた依頼人はノックの持ち主の声を聴いた途端、近くのロッカーに身を隠した。
首を傾げたが、客かもしれないのでドアノブを捻った。
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