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助産師は今起きている状況が理解できていない様子で戸惑っていると、部屋の扉が乱暴に開けられた。
「赤子の声が聞こえた、息子は無事産まれたのか?」
そう言いながら男は助産師に近付いていく。
「はい、蹂座様。ご覧ください、双子の赤ん坊です。」
リンに見せたように助産師は父親に双子を見せる。
「双子だと!?リン、これはどうゆうことだ?
南波家に産まれる子は男1人のみ、おまえもこの掟は知っているはずだ。」
蹂座(じゅうざ)はリンの方を睨みつけると、
「まあよい、市架は俺が預かる。もう1人の処分は任せた。」
そう言って助産師から男の子を取り上げ、部屋を出て行く。
未だに状況が分からない助産師はただただそこに立ち止まっているだけであった。
「ごめんね、ごめんね。」
リンはか細い声でそうつぶやき、力尽きるように眠った。
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