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ああ、と前置きして、かすかに震える声で。
「待ってください。まだあります」
少年に近寄って、そっと彼の胸に手を当てる。
少年が不思議そうに「ん?」と呟いて、目と目があう。
綺麗な色の瞳。
大きくて、綺麗で、飲み込まれてしまいそう。
ううん、飲み込まれちゃえば良いのに。
背伸びして届く、ほおにかするような。
ほんとにほんとに精一杯の、初めての贈り物。
クリスマスに、出来なかったこと。
ほんのちょっとだけ、頑張ってみたくて。
触れたところから全部、僕の気持ちが伝わってしまえばいいのに。
「……あの、ハッピーバレンタイン」
しんと訪れた静寂に堪えきれず、先に口を開いてしまう。
本当は反応を見たかったのに、目が合わせられない。
「ご存知じゃないかもしれませんが、気持ちです」
返品不可です、と小声で付け加える。
それってずるいこと?
でもどうしても貰ってほしい、受け入れてほしい。
だってこんなの初めて、貴方だけに贈るから。
恋人たちの甘いバレンタイン。
僕たちには不向きですか?
いいえ、そんなことはないはず。
僕だってやる時はやるんです。
戸惑いを浮かべる瞳を見つめる。
視線と視線が混じり合って、そこに世界が生まれる。
今度は逸らさない。
僕のことも見ていてほしい、なんて。
自分らしくないのは百も承知の上で微笑む。
可愛く笑うことができたかな。
ハッピーバレンタイン。
貴方だけに、秘密の贈り物を。
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如月さま宅、ノイくんお借りしました!
遅くなってしまって申し訳ないです……
ちょーーーーっとだけクレアちゃんが頑張る話でした。
本当にちょーーーーっとだけなんですけど((
当然のようにノイくんの私服を妄想してます、ごめんなさい……
あとイラストとしてあげられなかったので、とても画質が悪いです。
そして今気づいた。
今年もイラストにチョコが(リボンしか)ない。
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