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大和の半分というのは、大和は火の屋の血を継ぐゲートキーパーで、この世界に半分、亜空間に半分を存在させることで、亜空間を得ている。
心吾の比重が重いなら、大和は軽い。亜空間を自在に得られる代わりに、他の空間に引きよせられやすいのだ。
「孝太郎に引き寄せられたら、俺は、即、行ってしまいますからね……」
一羅の手伝いどころか、足手まといにしかならないと、大和は下を向く。
俺は、孝太郎に大和は渡さない。孝太郎に大和を渡してしまったら、孝太郎が無敵になってしまう。孝太郎は、天才と言われた亜空間使いであり、大和は奇跡の無限と言われるゲートキーパーであった。
屋根の上であるが、大和を引き寄せると、唇を寄せる。キスまでは、大和も許してくれる。手で、大和の胸や腰に触れ、じっくり深く舌を差し入れる。
時折、金色に光る大和の目が、又、深い紫になる。絡まった舌の熱さが、俺を妙に正気にさせる。
この腕の中の存在が、俺を、この世界に留めている。大和がいなかったら、俺は、孝太郎と相討ちだけを望んでいた。
大和の待つ、鬼同丸が俺の全てであり、この腕にいる存在が俺の命であった。
「愛しているよ……大和」
ふいと顔を背ける大和は、顔が真っ赤になっていた。
「俺には、時季と響紀がいる……」
それは、最初から知っていた。
「分かっているけれど、大和、愛している」
幻でもいい、大和を抱きたい。
「……部屋に移動しよう」
大和を抱き上げて、部屋に移動したのだが、部屋には別の問題が生じていた。
「ノノノウ?どうした?雪緒も……」
熊が、発情期のようであった。熊が興奮して、部屋の中を歩き回っていた。
「どうも、紫狼さん。雪男ではなくて、その、熊の姿の時は雌のようなのです」
雪緒の説明によると、稀に、人間では男性で、熊になった時は女性というケースがあるらしい。その場合は、人間の時も、女性的でもあった。
「で、雌が発情期に入ると、雄としては、どうしようもなくて……」
獣の世界になってしまっていた。もう、好きとか嫌いではなく、発情期なのだそうだ。
「この場合は、生まれてくるのは、何になるの?」
大和も、理解できていないようであった。
「熊の姿のままで、お産になります。産むのは熊ですが、成長により、俺のようになるのか、熊になるかが決まります」
熊が増えるということなのか。
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