第1章

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 システムを駆使して伸びてきた連中に、本来の戦闘というのが何なのかは説明できない。今まで、亜空間に孝太郎が存在していたので、他の組織も亜空間での戦闘をしなかっただけだ。亜空間からの攻撃を、機械やシステムで防衛できるなどとは、どう考えても無理であった。  既に、火の屋もジュノーも戦闘態勢を整えているというのに、鬼城はまだ平和に固執してしまっていた。 「ここに揃ってもらったのは、孝太郎の件ではない。俺に何かあった場合は、鬼城 五羅に頭領を譲る」  一羅が一言告げると、周囲はどよめいていた。最近、帰ってきたばかりの俺では、納得できない者も多いのだろう。 「五羅君はまだ若い。ここは、他の者に……」  俺も、鬼城を継ぐ気はない。俺には、鬼同丸という、所属している組がある。 「一羅様、俺は……」 「五羅、ここのメンバーは亜空間を知らない者が多い。これから、苦戦を強いられるだろう、立て直しに力を貸して欲しい」  亜空間を使えないメンバーから、文句が炸裂していた。これでは、鬼城が分離してしまう。 「一羅様。亜空間は間もなく、どの星でも使用可能になります。それから、又、話をしましょう」  まず、鬼同丸も体制を整えなくてはならない。幸い、大和はゲートキーパーと呼ばれる、宇宙で三人しか存在していない亜空間を渡せる者であった。鬼同丸の全員を、亜空間使いにする。それから、鬼城を建て直す。 「分かった。では、解散する」  一羅もゲートキーパーなのだが、相当、弱っていた。  馬鹿にしたように、幾つかの組が俺を見ていたが、老舗の組である、鉄鎖の頭領の黒須は、俺の横に歩いてきて座った。他に、狐の組や、雪家なども、俺の前に来ていた。  鬼城家の幾つかのチームの組頭(くみかしら)も残っていた。 「俺のところで、暫く、大和を借りたい。というか、時折、今も借りているけどな。亜空間使いを増やしている」  鉄鎖は、暗殺部隊を所有しているせいか、戦闘に対して感が良かった。 「狐は、銀狐が鬼同丸に移籍しているように、今も連携があります。天候や幻術を、鬼同丸で学んでおりますが、亜空間も教えて欲しいのです」  雪家も、鬼同丸が保護してきた。  大和も俺のいない間に、頭領代行として仲間を増やしていたのか。 「分かった。教育は、鬼若衆の百武に任せている。相談して欲しい。鉄鎖、俺は、大和を今後は貸したくない。そっちから来い」
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