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時季と響紀は、大和の幼馴染で、同じ鬼同衆であった。時季は、俺を見つけると、大和の部屋を指さしていた。
俺が部屋に近寄ると、ギシギシという音が響いていた。
「……翔一に何の接待をしたのですか。翔一は体の大部分が機械で、からかうと痛い目にあいますよ」
響紀が、小声で説明してくれた。
ここは、和室で、ベッドではない。それがギシギシ音をたてるということは、部屋、もしくは家までもが軋む程に激しいということであった。
「あ……ああああ、ごめんなさい、勘弁してください。そこ、使った事、ないのです」
中で何が繰り広げられているのだろうか。
「ひ、ひゃああ、あ……あ……」
ギシ、ギシと家が揺れ出した。
「いや、そこ、ダメ、あああ……あん」
声は、男性であるのだな。そんな観察をしている場合ではない。何しろ、紫狼は雪男であった。接待している翔一を、押しつぶされたらたまらない。
「この部屋、入口はどこだ?」
大和の部屋に入った事がなかった。からくりのようになっていて、部屋の入口がない。
「ああ、中から閉めているのですよ。こうなると、外からは大和しか開けられません」
大和の姿を探すと、ソニアに行っていると時季が教えてくれた。
「邪魔は野暮ではないですか?」
時季は、中の嬌声にうんざりと答える。中の声は激しく、部屋の揺れも激しい。
「それが、相手が雪男で、制御できていない……」
時季と響紀は、顔を見合わせると壁を叩いた。
「翔一、終わったら、相手を庭に出せ。家をぶっ壊される!」
大和の傍に、既に二匹いるのだから、何が起こるのかは予測済らしい。
「雪緒と同じタイプか……」
窓の開く音がしていた、慌てた足音がするので、何かが始まっているのかもしれない。
慌てて離れの庭に行くと、巨大な何かがうずくまっていた。四足で、熊のようでもあるが、牙が長い。しかも、離れよりも大きい。
「うがああああ」
目が紅く光っていた。口から涎が流れていた。正気ではないと予測される。庭の木を、片手で倒すと、家の方向に目が向いた。離れには、翔一が腰にタオルの状態で立っていた。
熊は、翔一を見つけると、低く唸り声をあげた。
「翔一、逃げろ!」
熊の手が伸びて、離れ家にかかろうとするとき、黒い影が動いた。
「お座り!」
大和が、離れ家の前に立っていた。
「ん?雪緒ではないのか、この暴走熊」
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