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血が、血がッ!!!!
(──止まらない......)
新たに巻き直した包帯など意味が無い、とでも言うように新たな鮮血が噴き出す。
ドクッ、ドクッと脈打ち、血の気が失せ青ざめていくケルーヤ。
深くえぐられた腹からは、臓器が顔を覗かせていた。
『ケルーヤ!!ケルーヤ!!』
焦点の定まらない、ケルーヤの目を覗き込み叫ぶ。
『生きて帰るんだッ!!こんな所でくたばっちゃいけない、ケルーヤ!!』
溢れ出る涙は抑えることは出来ずに、ボロボロと頬を伝う。
そして、ケルーヤの顔に滴は落ちる。
『──そうだね、レン......』
消えかかるようなケルーヤの声は、普段と変わらず優しくて穏やかだった。
『生きて──帰らなきゃ.......、ね』
そう言うと、ケルーヤは震える手でレンの頬に触れた。
瞼がゆっくり落ちる。
そして、最期の力を振り絞るかのようにゆっくり微笑む。
『──ごめんね』
ゴフッ
堰を切ったように血を吐き出すケルーヤ。
血の一滴一滴が流れ出る度、彼女の死へのカウントダウンが迫っているようで。
それでも、何も出来ない自分がいた。
止まれ、止まれッ!!!!
「止まれッーーー!!!」
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