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「相変わらず、見事ね......レン」
目と鼻の先で崩れる人狼の背後に立つレンを見て、ケルーヤは微笑んだ。
レンの手の中で月光を受け冷たい光を放つ剣は、ウォルファーの心臓を正確に貫いていた。
「ケルーヤの牽制が無ければ、仕留められなかった」
レンは大きく溜息を吐くと、一気に剣を抜いた。
血が噴き出し、雨のように降り注ぐ。
今日も報告書を頼んだ、と手をひらひらさせると、レンは真っ赤に染まった剣を水筒の水で流した。
ケルーヤは腰に手を当てて溜息をつく。
「はいはい」
その瞬間だった。
『......フッ』
絶命したと思われた目標の人狼が口の端を緩める。
「!」
レンが気が付いた時には、ケルーヤは腹を裂かれて倒れていた。
「ケルーヤ......!!」
ゴボゴボと血を吐き出し、痙攣を起こすケルーヤ。
.......
..............
「──大丈夫か」
レンはバルサンドに呼びかけられ我に返った。
バルサンドはレンの考えていることを察したようであった。
「......あの日の詳細は今、諜報部に調べさせているところだ」
と茶色の目を伏せた。
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